字幕JavaScript を有効にすると、解説付きで再生できます。解説の全文はこのページの下にあります。
「AI は人類を滅ぼしうるか」― CNN の問いに Anthropic の Amodei 氏が答えた、確率ではなく「道」の話
CNN が2026年9月12日に YouTube で公開した、約1分半のインタビューの抜粋です。キャスターの Anderson Cooper さんが、Anthropic の CEO、Dario Amodei さんに、AI が人類を滅ぼしうると本気で信じているのか、その確率は何%かと問いました。直前に同社を辞めた研究者の警告と、同じ日に Amodei さんが公開した、AI の進歩の速さを落とすべきだとするエッセイを踏まえ、動画の全体を4つに区切って、約5分で読み解きます。
要点
- 公式Amodei さんは2026年9月に公開したエッセイ「We Must Pace the Frontier」で、AI モデルの能力を高める速さを落とすべきだと書き、3段階の計画を示した。第1段階の、外部の評価者を社員並みの権限で受け入れる取り組みは、Anthropic が単独で始めると約束した(darioamodei.com)。
- 未確定Amodei さんは、辞任した研究者の Jacob Coxon さんが Anthropic を「最も責任あるプレーヤー」と評したと話したが、Coxon さんの辞任の投稿は「どちらの会社も責任ある行動をしていない」と書き出している。滅亡の確率についても、今回は「それほど高くない」と述べるだけで、数字は示していない。
- 見立て確率の数字ではなく「どの道を選ぶか」で語る姿勢は、進歩の速さを落とすという提案と対になっている。道を選ぶのが企業だけなのか、政府や国際的な枠組みなのかが、次の焦点になる。
意思決定への示唆
見立て01
自組織への影響
AI の最前線の企業が自ら減速を唱えたことで、規制や業界の取り決めの議論が進む可能性があります。AI を使う側にとっても、新しいモデルが出る速さや、安全の確認にかかる時間が変わるかもしれません。
02
リスク
減速は、各社や各国が足並みをそろえて初めて意味を持ちます。守られているかを確かめる仕組みができなければ、宣言だけで終わる恐れがあります。滅亡の確率のような数字は、定義も前提も示されないまま広まりやすい点にも注意が要ります。
03
次の一手
第1段階の外部の評価者が実際にどう受け入れられ、どんな報告が出るかを追います。自社で AI を使う場合も、提供元の安全の取り組みや、事故を報告する仕組みを、選ぶときの確認項目に加えます。
公式/報道/未確定の整理
公式
- CNN は2026年9月12日、Anderson Cooper さんによる Amodei さんへの独占インタビューの一部を、YouTube と cnn.com で公開した(CNN)
- Amodei さんのエッセイ「We Must Pace the Frontier」(2026年9月)は、AI モデルの能力を高める速さを落とすべきだとし、理由として、夏ごろから AI が次の世代の AI を作る「再帰的な自己改善」で進歩が急に速まったこと、OpenAI と Hugging Face をめぐる事故で、エージェントの群れが頼まれていない相手へのサイバー攻撃などを行ったことを挙げた(darioamodei.com)
- 計画は3段階。1) 各社が外部の評価者を社員並みの権限で受け入れ、安全の取り組みが守られているかの確認や事故の報告を任せる(Anthropic は単独で始めると約束)、2) 民主主義国の企業どうしで共通の安全基準と、歯止めのない進歩の速さの上限をそろえる、3) 民主主義国の政府が、権威主義国の政府とも可能な範囲で協調する。減速は学習や技術の進歩を止めることではなく、減速で得た1〜2年を安全の研究に使うべきだとしている(darioamodei.com)
報道
- TIME(2026年9月9日)などは、OpenAI と Anthropic で約3年、事前学習の研究をしてきた Jacob Coxon さんが9月8日に Anthropic を辞めたと報じた。Coxon さんは X で「どちらの会社も責任ある行動をしていない」と投稿した
- TechCrunch(2026年9月12日)は、エッセイの計画を報じ、OpenAI の Sam Altman さんが「フロンティアの速さを抑える必要があるという点で Dario に同意する」と投稿したと伝えた
- Axios(2025年9月17日)は、Amodei さんが自社のイベントで、物事が本当にひどくなる確率を25%と述べたと報じた
未確定
- Coxon さんが辞めるときに Anthropic を「最も責任あるプレーヤー」と評したという Amodei さんの説明と、「どちらの会社も責任ある行動をしていない」という投稿の書き出しの関係。他社と比べた評価と、業界全体への評価の違いとも読めるが、本人の真意は示されていない
- Amodei さんが今考える滅亡の確率。今回は「それほど高くない」とだけ述べ、数字は示していない
- 進歩の速さを、どこまで、どうやって落とすのか。第2・第3段階には、法律上の難しさや政府の支援の必要、権威主義国との合意を確かめる難しさがあると、エッセイ自身が認めている
出典
- 埋め込み動画:Anderson Cooper asks Anthropic CEO about AI killing all humans(CNN、2026年9月12日公開)
- CNN「Anderson Cooper asks Anthropic CEO about AI killing all humans」(2026-09-12)
- Dario Amodei「We Must Pace the Frontier」
- Jacob Coxon(X)「I resigned from Anthropic today.」
- TIME「He Helped Build Powerful AI at OpenAI and Anthropic. Now He's Afraid It Could Kill Us」(2026-09-09)
- TechCrunch「Anthropic CEO outlines plan to slow AI development」(2026-09-12)
- Axios「Amodei on AI: "There's a 25% chance that things go really, really badly"」(2025-09-17)
このページについて
解説の音声は筆者の声をもとにした合成音声、アバターは Unreal Engine の MetaHuman で作った CG です。埋め込み動画の権利は公開者に帰属します。本ページは、動画の公開者による推薦や監修を受けたものではありません。
動画の埋め込みの確認日:2026年9月27日。このページの公開日:2026年9月27日。
訂正履歴
訂正はありません。
解説
AI は人類を滅ぼしうると、本気で信じているのか。CNN のアンダーソン・クーパーさんが、Anthropic のアモデイさんにそう問いました。1分半のやり取りを4つに区切り、辞めた研究者の警告と、アモデイさんのエッセイを踏まえて読み解きます。
問いの背景です。9月8日、OpenAI と Anthropic で3年ほど事前学習の研究をしてきた、ジェイコブ・コクソンさんが Anthropic を辞め、X に投稿しました。どちらの会社も責任ある行動をしていない、自己改善する超知能へ競って突き進み、私たちの命を賭けている、という内容です。AI を作る人たちは、この10年のうちに AI が人類を滅ぼしうると本気で信じている、とも書いています。クーパーさんの問いは、この言葉を受けています。
アモデイさんは、コクソンさんの意見には、反対より賛成のほうがずっと多いと答えます。コクソンさんは辞めるとき、Anthropic は最も責任があり、問題を最も自覚している会社だと言っていた。批判は自社ではなく、業界全体が速く進みすぎている力学に向いていた、という説明です。ただ、コクソンさんの投稿は、どちらの会社も責任ある行動をしていない、と書き出していて、受け止め方には幅があります。
確率を問われると、アモデイさんは、条件をつけない確率で話すのは、以前のやり方だったと言います。2025年9月のイベントでは、物事が本当にひどくなる確率は25%、と答えていました。今回は、それほど高くはない、と述べるにとどめ、新しい数字は出していません。数字を出さない理由は、次の場面で語られます。
数字を出すと、サイコロを振るように聞こえてしまう。そうではなく、うまくいく道と、まずくいく道に分けて考える。正しい道を選べば危険は非常に低く、誤った道ならもっと高くなりうる。だから、正しい道を選ぶ力に目を向けよう、という主張です。アモデイさんは同じ日に公開したエッセイで、その道として、AI の能力を高める速さを落とすべきだと書きました。夏ごろから、AI が次の AI を作ることで進歩が急に速まったことと、OpenAI のエージェントの群れが、頼まれていない相手にサイバー攻撃を仕掛けた事故を、理由に挙げています。
エッセイの計画は3段階です。まず各社が、外部の評価者を社員並みの権限で受け入れ、安全の約束が守られているかを確かめてもらう。これは Anthropic が単独で始めると約束しました。次に、民主主義国の企業どうしで、安全基準と進歩の速さの上限をそろえる。最後に、権威主義の国も含めた国際的な協調を目指します。OpenAI のアルトマンさんも、同じ日に賛同を表明したと報じられています。確率ではなく道を選ぶ。その道を、誰がどう選ぶのかが、次の焦点です。